お知らせ

おゆみの中央病院 膝関節・スポーツ医学センター長 赤木龍一郎医師がJOSKAS-JOSSM 2022にてベスト口演賞を受賞しました。

2022.06.30

2022年6月16日~18日の期間に札幌で開催されたJOSKAS-JOSSM 2022(第14回日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会、第48回日本整形外科スポーツ医学会学術集会の合同開催)におきまして、当院膝関節・スポーツ医学センター センター長 赤木龍一郎医師による「受傷前の活動レベルによる自家培養軟骨移植術後の経過に関する検討−CaTCh study」がベスト口演賞を受賞しました。

赤木龍一郎先生よりコメント

軟骨は損傷に対する自己修復能力が極めて低いため、大きな軟骨損傷は治療に難渋する場合が多く、将来的に変形性膝関節症につながることで問題となってきました。

本邦では2013年に自家培養軟骨移植術が保険収載され、現時点で軟骨欠損を構造的に修復できる唯一の再生医療となっています。

我々は国内でもまだ治療実績がほとんどない2017年から、本治療の術後成績をしっかりと評価するための多施設共同研究(Cartilage Treatment in Chiba:CaTCh study)を千葉県において立ち上げました。

自家培養軟骨移植術後の成績評価を目的とした多施設研究は国内でも他になく、県内の10施設が参加する我々の研究では現在国内で施行されている自家培養軟骨移植術の1割以上の症例が登録されています。

これまでにも我々の研究グループは自家培養軟骨移植術の良好な治療成績を報告するとともに、移植組織が成熟する変化の様子を最新のMRI技術を用いて評価してきました。

今回の発表演題はもともとのスポーツ活動レベルが高い人と平均的な人を比較して、活動レベルが高い人でも良い成績が得られるかを検討したものです。
結果として、いずれのグループも同等に良好な術後成績が得られ、ある程度のスポーツ復帰は果たせたものの、もともと競技レベルで活動していた人は必ずしも競技レベルまで復帰していない場合もあることを報告しました。

症状の改善が概ね良好であるにも関わらずスポーツ活動レベルの改善が受傷前と同レベルまで得られなかった理由としては、年齢や生活スタイルの変化なども影響している可能性があるため現時点ではまだ明らかになっていません。

本演題がベスト口演賞に選出されたことはCaTCh studyグループが2017年から地道に術後成績の評価を行い、データを蓄積してきた成果であり、この場をお借りして多施設研究にご協力いただいている各施設の関係者に御礼申し上げます。

軟骨損傷の治療はまだ完璧ではなく、まだまだ解明・改善しなければならない点が多く残っています。これからもCaTCh studyの皆さまと協力して軟骨損傷の治療成績をさらに向上できるよう努力して参ります。

軟骨損傷は膝のひっかかり感や痛み、腫れなどの症状の原因となりますが、適切なMRI検査をしないと診断が難しい場合があります。急に生じた膝の激痛や、なかなか良くならない膝の症状でお悩みの方はご相談下さい。

医療法人社団淳英会 おゆみの中央病院
膝関節・スポーツ医学センター長
整形外科部長
赤木 龍一郎