MRIについて

ドイツ シーメンス社製 3.0T MRI 『MAGNETOM SPECTRA』

3.0Tが意味するものとは

MRI装置の性能を決定づける一番の要因が静磁場強度です。当院MRI装置の静磁場強度は『3.0T(テスラ)』であり、現在国内で臨床用として稼働している装置の中で最高の強度を誇ります。強度が高いほど高精細な画像を得ることが可能であり、広く普及している1.5Tの機器と比べて画質の差は歴然です。

頭部:脳動脈瘤 症例 でのMRA比較画像

頭蓋内の内頚動脈に小さく隆起した動脈瘤(血管のこぶ)を認めます。
『MRA:MR Angiography(MRIによる血管撮像)』では、CTのように造影剤等を用いることなく血管(正確には血流)画像を得ることが可能であり、造影剤副作用の心配もありません。
当院では頭部の検査を行う場合に撮像しています。
3.0Tでは、1.5Tに比べ、輪郭はもちろん、より細い血管まで鮮明に描出可能となります。

頭部:脳梗塞 症例

MRIでは様々な撮像方法があり、形態情報のみでなく、機能的な情報も得ることが可能です。
その代表的なものが『拡散強調画像』です。通常、細胞と細胞の間は液体(細胞間液)で満たされ、その液体は自由に流動(拡散)しています。脳血管が障害され、血流が途絶えると、血管周囲の脳細胞に浮腫が発生します。浮腫とは細胞が『むくんだ』ような状態のため、細胞間液の流動(拡散)が阻害されます。その拡散の程度を画像化することにより、CTでは診断に苦慮するような、発症して間もない脳梗塞も捉えることが可能となります。

脊椎:腰椎椎間板ヘルニア 症例

突出した椎間板、またそれにより圧排される神経が明瞭に描出されています。
X線を用いた検査(レントゲン、CT)では、柔らかい組織を分けて描出することが苦手です(X線の透過具合が似ているため)。
MRIは組織固有の水素原子の状態を画像化するため、高いコントラストを得ることができます。
骨の微細な構造の描出はX線検査に敵いませんが、脊髄、椎間板、神経等はMRIでないと描出もままなりません。

肩関節:腱板損傷 症例

腱板とよばれる肩の骨と腕の骨をつなぐ板状の腱が損傷し、そこに関節液が入り込んだ様子が描出されています。
損傷により炎症を起こしている部分には液体成分が多く存在するため、水分を強調するように(周囲の脂肪の信号を消して)撮像することで容易に判別が可能となります。

手関節:橈骨 骨挫傷 症例

橈骨(腕の骨)に骨挫傷が認められます。 骨挫傷のように、骨のズレを伴わない軽微な骨折はレントゲンやCTでは判別困難ですが、炎症部位を描出可能なMRIであれば容易に判定可能となります。

臀部:中殿筋筋挫傷 症例

右臀部に広範囲な筋肉の炎症を認めます。
また、骨自体に損傷がないこともしっかりと確認できます。

膝関節:半月板、前十字靭帯損傷 症例

半月板(膝のクッションとなる軟骨組織)の断裂に加え、前十字靭帯(大腿骨と脛骨を結ぶ靭帯)の断裂も認められます。
当院では3.0Tの高磁場を最大限に活かし、非常に高精細な画像を得ることが可能です。断面の厚さも可能な限り薄くすることで、微細な損傷も見逃しません。