CTについて

ドイツ シーメンス社製 64列マルチスライスCT『SOMATOM PERSPECTIVE』

マルチスライスCTとは

人体を通り抜けてきたX線を検知する検出器は、従来1つのみでしたが、技術の発展に伴い、多列(マルチ)化が進んでいます。より薄く、より高精細な断層画像を得ることが可能となり、更に撮影に要する時間も短縮することに成功しました。
当院のCTは検出器を64列備えており、0.6mm厚まで薄く撮像することが可能です。また、殆どの部位の撮像を10秒以内に終えることができます。
さらに、放射線量を最適化する機構も搭載しており、被ばくを最小限に止めます。

頭部:硬膜下血腫 症例

頭部の外傷等によって発生する、頭蓋内出血の一例です。
CTのスピードを活かし、受傷時は迅速に検査を行います。

顔面部:外傷による頬骨・副鼻腔骨折 症例

顔面部の外傷に伴う、頬骨と、さらに内側にある上顎洞と呼ばれる部位の骨折です。
マルチスライスCTのメリットである薄い断面画像を重ね合わせ処理することで、輪切り以外の断面を再構築することも可能です。
頭部は特に骨が複雑かつ微細な構造となっているため、多方面から観察可能なメリットは多大です。

脊椎:腰椎圧迫骨折 症例

転倒、尻餅等の外傷に伴って発生する脊椎の骨折です。
多断面から観察することで、圧潰の度合いなどより多くの情報を得ることが可能となります。

腹部:胆嚢結石 症例

胆嚢に生じた結石が描出されています。入り組んだ各臓器の位置関係も把握しやすくなります。
本症例では大動脈壁の高度な石灰化も認められます。

四肢:中手骨骨折 症例

コンピューター処理による3D立体画像も作成可能です。
骨の位置関係を詳細に描出することで、整復(元の位置にもどすこと)や、手術前のシミュレーションに有用です。

造影検査

造影剤と呼ばれる、X線を吸収する薬剤(ヨード製剤)を静脈注射により血管内に投与して検査を行います。血液と一緒に全身を巡り、造影剤が分布した組織は、周囲とのコントラストがより鮮明となり、観察しやすくなります。血管内の状態や、血流に富む悪性腫瘍などを精細に描出することが可能となります。
稀に重篤な副作用が発生する場合があるため、医師が必要と判断した場合のみ使用します。

心臓冠動脈3DCT Angiography(造影剤※使用):冠動脈狭窄 症例

造影剤が血管を通過するタイミングに合わせて撮像することで、血管の内腔状態をそのまま描出することが可能となります。狭心症・心筋梗塞の原因となる冠動脈の狭窄や閉塞の診断に役立ちます。

冠動脈は心臓の拍動と共に動いているため、ブレのない画像を得るには、拍動タイミングに合わせてデータを収集する必要があります。そのため、冠動脈撮影は他の部位よりも撮像する時間が比較的長くかかりますが、当院機器では約15秒の息止め撮像で、心臓全体の鮮明な画像を得ることが可能です。

CABG(冠動脈バイパス術)後フォローアップ 症例

狭窄した冠動脈の血流確保のため、他の血管と接続する手術(CABG)を行った後、バイパス血管に再度狭窄が起きていないか確認するために行います。