これまで長年医師として勤めてきましたが、私の場合、理想とする医師像は、あるようでないのが正直なところです。といいますのは、そのときどきで変わってくるものだからです。ある程度年齢を重ねればまた新たな目標も見えてきます。先々の目標設定よりも、今目の前にあること、目の前にいる患者さんに向き合って一生懸命やることが重要だと思っています。

手術が必要な患者さんには、手術をすること、しないことのメリットやデメリットをわかりやすくお伝えしています。手術をしないことで病気が治る確率についてもお話しします。その上で、私の方から「手術をしなさい」というのではなく、最終的に患者さん自身に納得して判断してもらうことを大事にしています。

日々さまざまな症例を診ていますが、たとえば他の病院で「手術はできない」といわれた患者さんに手術をして、症状が改善すると心から嬉しいですし、専門医としてとてもやりがいを感じる瞬間です。

私がおもに専門として手がけるFESSの手術は、一般的な手術とは違って、非常に繊細なものなので、手術をするたびに新しい発見があります。患者さんの症例によって、ひとつとして同じものがないことに発見の日々です。具体的にどこが違うかということを説明できないくらい、患者さん一人一人異なるのです。

私の手がけるFESS手術をはじめとする治療は、肩の関節を診るための関節鏡視下手術などと比べると、まだまだスタンダードではなく、特殊な治療領域です。FESS手術は高い技術と豊富な経験を要することもあって、使いこなせる病院はかぎられます。

今後ますます脊髄脊椎外科医として研鑽を積み、1人でも多くの患者さんの治療を重ねることで、多くの人に広く知られる手術にしていきたいと考えています。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方はぜひ一度、当院の整形外科（脊髄脊椎外科）にご相談ください。